循環系の調節はどこでされるか

      2017/08/21

激しい運動を最大として、人のさまざまな行動の中で、各組織の代謝量すなわち酸素消費量は大きく変動している。その消費量に応じて血流量はたえず増減される。その調節にかかわっているものはなんだろう。

血液の循環は、心臓が拍動することでおこる。運動中に心臓の拍動が高まることは、誰でも知っている。

心拍出量を高めているのだ。激しい運動時には、五倍以上に増加する。

すなわち血液は毎分二五リットル以上心臓から送り出されるわけだ。でも、血液は全部で五リットルしかないのに、どうして二五リットル出すことができるのだろう。

実は、血液が体をめぐってくる時間が、五分の一以下に短縮するのだ。前に計算した一日一四四〇周は、 一日のんびりとすごした人の場合で、実際には、その二倍以上、血液は回っている。

実際に末梢組織に対する還流圧すなわち血圧をつくり出しているのは、血管の弾性と収縮だ。

この血管の収縮と拡張の反応が遅いと、たとえば、立ちくらみがおきる。急に立ち上がって、脳にいく血流が減ってしまった結果だ。安静時には、心拍出量の約二〇パーセントが筋肉に供給さ
れる。それに対して、運動時には、心拍出量の約八〇~八五パーセントが筋肉にむけられる。

その結果、運動時の筋肉の血流量は、前に述べたように、安静時の二〇倍以上になるわけだ。

筋肉にそれだけの血流を配分するために、胃腸などの内臓臓器にいく血流は減らされることになる。

しかし、脳にいく血流は一定に保たれる。スポーツ選手は、運動中にもきわめて高度な状況判断を求められるが、脳にいく血流が減ってしまっては、それができなくなってしまう。

しかし、それも練習をつんで初めてできることだ。私たち一般人が運動を行えば、頭が空っぽになるのを避けられない。

運動選手といえども、疲労すると、なにも考えられなくなってしまう。これはとても興味深いことで、血液が流れにくくなることが関係していることを、あとで明らかにします。

心臓の拍動や血管の収縮。拡張を調節しているのは、自律神経系だ。血管は特に、自律神経系の中の交感神経系の支配を受けている。交感神経系の作用を補助するものとして、副腎髄質から分泌されるノルアドンナリン、アドレナリンが重要だ。

それらは血流に入って全身に作用する。循環系の調節には、ほかの内分泌系も大きくかかわっている。たとえば、血液量を調節するのは腎臓だが、それには、利尿ホルモンや抗利尿ホルモンが重要な働きをしている。

腎臓の働きはすべての毛細血管で行われている濾過と吸収を、組織だって大々的に行っていると考えればよい。

そこでは濾過を専門に行う毛細血管(糸球体毛細血管)と、吸収を専門に行う毛細血管(尿細管をとり巻く毛細血管)に分かれている。

さらに、細胞が産生する代謝産物も血流に影響する。わかりやすいのは熱だ。熱も代謝産物だ。

熱で温度が上がると、血管が拡張して血流が増加する。それによって、熱は運び去られ、 定の温度が保たれるのだ。

女性が妊娠すると、胎盤に大量の血液を流さなければならなくなる。そうすると、絶対量が不足してくる。そのため、文字どおり、血液の水増しが行われる。女性の血液は、ただでさえ薄い。

それが、ますます薄くなってしまうのではないかP しかし心配は無用、薄さ(貧血)は血液の流れのよさで十分カバーされているのだ。貧血に対する読者のイメージを、根底からひっくり返すことも当サイトの目的でもあります。

循環系の調節には、神経系、内分泌系、サイトカイン(ホルモンの一種)、代謝産物など、多くのメカニズムと因子がかかわっている。

見落とされがちな点が、二つある。その一つは、心臓や血管、脳神経系、内分泌系、腎臓など、いずれもそれ自身が常に活発に活動して、大量の酸素を消費していることだ。そのため、血液循環を行うためのシステムそのものが、何よりも血液循環を必要としている。循環系が不調になれば、まず、循環系それ自身にハネ返ることになる。

次に、毛細血管に十分なゆとりがなくてはならないことだc安静時と運動時の筋肉では、前に述べたように二〇倍以上も血流量は違う。その増減を可能にしているのは、十分にゆとりのある毛細血管の総本数だ。

毛細血管の本数が減ってしまえば、どんなに調節機構が働いても、血流量を増加できなくなる。そうするとまず、酸素消費量の大きい脳や網膜、腎臓などの機能不全となってあらわれる。

毛細血管の数は、間違いなく、加齢とともに減ってくる。だから、老化に伴う機能不全はどうしようもなくおこってくる。私自身、それを切実に感じている。老化とは、毛細血管の本数が減少することだといっていいだろう。

老化は避けられないことだが、個人差は著しい。それを遺伝子のせいにするのは、なにも説明していないと同じだ。

私は、血液流動性の管理の善し悪し、言い換えれば、血液をサラサラに保つか、ドロドロにしてしまうかの健康管理の違いによって、毛細血管の本数の減少速度が大きく変わってくると考えている。

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